オフィスの電気容量は?必要量の計算や不足時の対応方法も解説

オフィスの電気容量は?必要量の計算や不足時の対応方法も解説

オフィス運営では、適切な電気容量を確保することが業務の円滑な遂行に欠かせません。
電気容量が不足すると、業務効率の低下や予期せぬトラブルが発生するリスクがあります。
そのため、容量不足への対策や確認方法を事前に把握しておくことが重要です。
この記事では、オフィスの電気容量に関する基本的な知識と実用的な対策について詳しく解説します。

オフィスに必要な電気容量について

オフィスに必要な電気容量について

オフィスを新たに開設する際、電気容量の適切な確保は業務の円滑な運営に欠かせません。
特に、空調機器や照明設備、パソコンなどの消費電力を正確に把握し、総合的に計算することが重要です。
以下では、主要な機器ごとの電気容量の目安について解説します。

空調機器に必要な電気容量の目安

オフィスの空調機器は季節や使用状況によって消費電力が変動します。
一般的にエアコン1台あたりの消費電力は8~12アンペアとされ、10人規模のオフィスでエアコンを2台使用すると最大で24アンペアほど必要になります。
このように空調機器はオフィス全体の電力計算で大きな割合を占めるため、事前の確認が重要です。
また、定期的なメンテナンスや適切な温度設定によって無駄な電力消費を抑えることができます。
さらに、最新の省エネ型エアコンやオフィスの断熱性能の向上を検討することで、冷暖房効率を高められます。
機器の消費電力を想定する際には、稼働時間や空調の設定温度なども考慮すると、より正確に見積もりしやすくなるでしょう。
特に夏場は設定温度が下がるほど消費電力が大きくなるため、省エネと快適性のバランスを考えた運用が重要です。

照明設備が消費する電力の基準

照明設備はオフィスの電力消費において見過ごせない要素です。
従来の蛍光灯は1本あたり約0.3~0.4アンペアを消費し、20本使用すると6~8アンペアが必要になります。
近年はLED照明の導入が進み、省エネ効果が期待できます。
一般社団法人日本照明工業会によれば、オフィスビルの照明エネルギーは季節によって大きな割合を占めるため、最新のLED照明を採用すると消費電力を抑えられます。
照明を選定する際には、オフィスのレイアウトや作業内容に適した色温度・明るさを考慮することもポイントです。
昼白色などをメインにすると集中しやすい環境を整えられますが、まぶしさを感じる場合は調光機能を活用すると快適な作業スペースをつくる助けとなるでしょう。

パソコンや周辺機器の電力消費量

オフィスで使用されるパソコンや周辺機器も重要な電力要素です。
ノートパソコンは標準時で4~8ワット、最大時で65~74ワット程度とされ、デスクトップパソコンは標準時が30ワット弱、最大時が約90~120ワットになります。
モニターのサイズによっても消費電力は変わり、15.6型モバイルモニターで輝度80%時は6ワット、21.5型は同条件で11ワット、23.8型は14ワット程度です。
これらの機器は常時稼働させる場合も多いため、一台ごとの電力だけでなく台数の合計にも注意が必要です。
周辺機器としてはプリンターや複合機なども見落とせない存在であり、スタンバイ時でも一定の電力を消費するケースがあります。
常時使用しない機器については主電源をこまめに落とすなどの運用ルールを決めることが、総消費電力を効率的に抑える手段となります。

オフィスの電気容量が足りない場合の対処法について

オフィスの電気容量が足りない場合の対処法について

オフィスの電気容量が不足すると、業務効率の低下や機器の故障などさまざまな問題が発生します。
対策を把握しておくと、これらのリスクを未然に防ぐことができます。
以下では具体的な解決策をご紹介します。

契約アンペア数の見直し方法

まずは契約アンペア数の見直しです。
契約アンペア数は電力会社と結ぶ際に定める最大使用電力で、平均的な5人オフィスなら40アンペア程度が一般的といわれます。
機器の種類や数によって変動するため、実際の電力使用状況を調べてから設定することが大切です。
変更手続きは電力会社に連絡して行い、ブレーカーの交換などが必要になる場合があります。
契約アンペア数を増やすと基本料金も上がるため、コスト面を考慮しながら適切な容量を検討しましょう。
実際の検討段階では、季節ごとの使用電力量や残業が多い時期のピーク負荷なども見極めると、より正確なアンペア数を選択しやすくなります。
また、一時的に負荷が大きくなるイベントなどを想定して少し余裕を持たせると、急なトラブルを回避しやすいです。

空き回路を活用した対応策

契約アンペア数を増やせない場合は、分電盤内の空き回路を活用する方法があります。
分電盤には複数の回路があり、空き回路を利用して消費電力の大きい機器を別回路に移すことで、ブレーカーが落ちるリスクを分散できます。
エアコンや複合機など負荷の大きい機器を専用回路にするのが有効です。
ただし物件によって分電盤の構造は異なるため、専門業者に依頼して状況を確認することが必要です。
必要に応じて回路の増設や配線の見直しも検討してください。
回路を分散させる際には、レイアウト面にも注意を払いましょう。
机周りにコンセントを集中させると利便性は上がりますが、同じ回路に過度な負荷がかかる場合があります。
レイアウトと回路構成を総合的に見直すことで、オフィス全体の電力負荷をバランスよく配分できます。

移転による電気容量確保の選択肢

上記の対策でも不足が解決しない場合は、オフィス移転という選択肢があります。
新たな物件では事前に電気容量や回路数などを確認し、将来的な増設にも対応できるかをチェックすることが大切です。
分電盤の容量や各回路の状況を確かめ、必要に応じて管理会社やオーナーに問い合わせましょう。
こうした準備を行うことで、入居後に起こり得る電気容量不足のトラブルを回避できます。
移転に踏み切る際は、移転先の地域や物件構造の特性も事前に調べるとよいでしょう。
例えば高層ビルでは、フロアごとの基本容量が決まっている場合もあり、後から大幅な増強が難しいケースがあります。
また、古い建物では老朽化した配線などが原因で増設が制限される場合もあるため、専門家の意見を取り入れた調査が安全策となります。

オフィスの電気容量の確認方法について

オフィスの電気容量を確認する方法について

オフィスの電気容量を把握することは、安定した業務運営に不可欠です。
新たな物件を検討する際や機器を増設する場合、電気容量の不足が業務に支障をきたす可能性があります。
以下では確認の手順を解説します。

現在の使用量を把握するポイント

まず、オフィスで使用している全電気機器の消費電力をリスト化し、日常の使用状況を踏まえて合計値を算出します。
パソコンや照明、空調設備などを含め、漏れなくチェックすることが大切です。
次に、算出した総消費電力を基に契約アンペア数が適切かどうかを判断します。
一般的に1アンペアは100ボルト×1アンペア=100ワットに相当するため、総消費電力が5000ワットであれば50アンペアが必要という計算になります。
季節によって電力使用は変動し、特に夏季や冬季は空調負荷が増すため、ピーク時を想定して余裕を持った電気容量を確保すると安心です。
このリスト化作業を行う際、デスクごとや部署ごとに機器を集計する方法も有効です。
そうすることで、どこに大きな電力負荷がかかっているのかを把握しやすくなり、回路の振り分けや使用時間帯の調整など、具体的な対策が考えやすくなります。

内覧時に確認すべき電気設備の項目

新たなオフィスを内覧する際は、分電盤の容量や回路数を確認しましょう。
また、空き回路があるかどうかや、コンセントの数と配置も重要です。
必要な場所に十分なコンセントがない場合、延長コードを多用して事故のリスクが高まる可能性があります。
電力会社との契約内容や過去の電力使用状況の記録が入手可能なら参照し、既存の利用実績を把握して自社の使用状況と比較してください。
こうしたチェックは短時間で済ませがちですが、入居後のトラブルを防ぐためには物件担当者と一緒に詳細を確認することが望ましいです。
もし将来的に大規模な機器追加を予定している場合は、あらかじめ必要アンペア数や回線工事の可否についても質問しておくと安心です。

まとめ

オフィスに必要な電気容量は空調や照明、パソコンなどの使用状況を踏まえて慎重に計算することが肝要です。
不足が生じる場合は契約アンペア数の見直しやオフィス移転などで対策を検討し、内覧時の確認を徹底しましょう。
適切な容量を確保することで、安心して業務を行える快適なオフィス環境を実現できます。