設備投資をムダにしない!造作買取請求権の活用法と注意点5つを解説
事業用物件を借りる際、見落としがちなのが「造作」に関する権利です。
とくに、設備や内装を自費で設置するケースでは、その扱いが将来の損得に直結します。
今回は、知っておくべき「造作買取請求権」の基礎と実務上のポイントを解説します。
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造作買取請求権とは?事業用賃貸で知っておきたい基礎知識
事業用の賃貸借契約において、借主が設置した設備や内装を契約終了後に買主(貸主)に対して、買取請求できる権利があります。
この権利を「造作買取請求権」と呼び、事業用物件においては重要な法的権利です。
とくに、エアコンや棚など、借主が設置した設備が撤去できず、利用価値を持つ場合に関連します。
この記事では、造作買取請求権の基本的な意味と、事業用の賃貸借契約でこれをどのように活用できるかを解説します。
造作買取請求権の概要と法的根拠
「造作買取請求権」とは、借地借家法第33条に基づくもので、事業用の賃貸借契約において、借主が設置した設備(造作)について、契約終了後に貸主に対してその設備を買い取るように請求できる権利です。
つまり、借主が自ら設置した設備が事業にとって重要であり、そのまま放置されることが不利益になる場合に、借主がその設備を貸主に対して買い取らせることができる制度です。
この権利は、営業継続に有用な設備であることを前提にしています。
たとえば、特定の業務に必要なエアコンや棚など、取り外しが困難な設備がこれに該当します。
設備が事業の運営に不可欠である場合、借主は契約終了時にその設備を新たな借主に譲渡するのではなく、貸主に買い取らせることができます。
どんな設備が「造作」にあたるのか
「造作」に該当する設備とは、建物に付随しているものであり、簡単には移設・撤去できない設備です。
たとえば、業務用エアコン、棚、パーテーション、壁紙の変更、照明設備などがこれに該当します。
これらの設備は通常、事業用物件の特性に合わせて設置され、事業の継続に不可欠なものであることが多いため、借主がその価値を保証し、譲渡できるようにしています。
逆に、簡単に移設可能な家具や家電(冷蔵庫やテレビなど)は「造作」にはあたらないため、買い取ることはできません。
これらは家財に該当し、所有権が移転しない限り買い取り請求の対象とはなりません。
事業用物件で扱う造作の範囲については、具体的に契約書に明記されることが多いため、賃貸借契約を結ぶ際にはその内容を確認することが大切です。
エアコンや内装の具体的な該当例
事業用物件でよく見られる「造作」に該当するものには、業務用エアコン、棚、パーテーション、カウンター、内装の変更などが挙げられます。
とくに、業務用エアコンは、商業施設やオフィスなどの事業運営に欠かせない設備となっており、これが設置されている場合、退去時に貸主に対して買い取りを請求できる可能性が高いです。
内装変更や棚の設置も、事業に特化した設備として設置された場合、造作として認められることが多いです。
一方、家庭用のエアコンや、個人使用のために設置した家具類は、「造作」にはあたらないため、その買取を請求することはできません。
これに関しても、賃貸借契約時にどの設備が対象となるのかを明確に確認しておくことが求められます。
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エアコンは対象になる?造作に含まれる条件とは
エアコンが「造作」に該当するかどうかの判断基準は、設置方法とその目的に依存します。
一般的には、業務用として設置され、建物に固定されている場合に限り、「造作」として認められます。
しかし、家庭用のエアコンや簡単に取り外しできるものは、対象外となることが多いです。
家財・家電と造作の違い
「造作」として認められる設備と「家財・家電」の違いを理解することは重要です。
家財(テレビ、冷蔵庫など)は移動可能であり、設備として固定されていないため、契約終了時にその買い取り請求をおこなうことはできません。
これに対して、「造作」は建物に固定された設備であり、その撤去が困難な場合にのみ対象となります。
たとえば、エアコンの場合、業務用エアコンは「造作」に該当し、家庭用エアコンは「家財」に該当します。
これにより、エアコンが事業にとって不可欠な設備である場合、貸主に対して買い取り請求が可能となります。
エアコンが造作として認められる条件
エアコンが「造作」として認められるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・建物に固定されていること:エアコンが建物に固定され、取り外しには工事が必要な場合。
・事業にとって不可欠であること:エアコンが事業運営に必要な設備であり、事業を運営するために設置されたこと。
たとえば、業務用の大きなエアコンは、固定され、取り外しが手間であるため、「造作」として認められることが多いです。
逆に、簡易に取り外せるタイプのエアコンや、家庭用の小型エアコンは対象外となることが一般的です。
設置前に確認すべきポイントと注意点
エアコンを事業用物件に設置する前に、賃貸借契約書を確認することが重要です。
とくに、「造作買取請求権を行使しない」という旨が契約書に記載されていないか、事前に確認しておきましょう。
このような規定がある場合、契約終了後に造作買取請求権を行使できないため、設置前にその点を理解しておくことが大切です。
また、エアコン設置の前に、貸主との事前協議が必要です。
貸主が設置を許可しているかどうか、その後の取り扱いについて話し合うことが、後々のトラブルを避けるために重要です。
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買取金額はいくら?エアコンの評価方法と実例
造作買取請求権を行使する際、実際にどれくらいの金額が認められるのでしょうか。
エアコンなどの設備の買取金額は、減価償却後の時価に基づいて算出されます。
減価償却による時価の考え方
減価償却とは、時間が経過することにより、設備の価値が減少することを反映した会計上の方法です。
エアコンや設備も、設置からの使用年数に応じて価値が減少し、その時点での時価が決まります。
たとえば、設置から6年目のエアコンは、購入価格の半分程度の価値として評価されることがあります。
これにより、設備が新しいほど高い金額が認められます。
相場目安とエアコンの価格例
エアコンの買取価格は、使用年数や種類によって異なります。
たとえば、業務用エアコンは新品で50万円程度の場合、減価償却後の買取価格は20万円程度となることがあります。
家庭用エアコンであれば、同じように減価償却を加味して評価されますが、通常は業務用よりも低い金額となります。
金額交渉で役立つ準備資料と証拠
エアコンの買取金額を交渉する際には、設置時の領収書、設置工事の報告書、写真、使用年数の証明書などが役立ちます。
これらの証拠資料を準備しておくことで、交渉がスムーズに進みます。
また、貸主との合意形成が重要であり、証拠を基に交渉を進めることがポイントです。
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まとめ:造作買取請求権を正しく理解し、損を防ぐために
造作買取請求権は、借主が事業用物件で設置した設備に対して、契約終了時にその買取を求める権利であり、事業継続に重要な設備が対象となります。
この権利を活用することで、設備の損失を最小限に抑えることができますが、契約時にしっかりと確認しておくことが重要です。
また、減価償却による価格算出や交渉の際には証拠資料を整え、スムーズな取引を目指しましょう。
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株式会社TENPOUP メディア編集部
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